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サックス 敦

*今日のつぶやき*(1/6) 部屋で育てているギンモクセイが開花中で、香りに癒されています 敦

違うから面白い。似ているから面白い。

asagao.jpg作曲家・演奏家が作曲や演奏中に頭に描いている情景なりメッセージなりを、聴き手が共有する必要はないと思う。聴き手は好き勝手に聴いて自分の好きなように楽しめばそれでいい。
専門的に音楽を知らぬ人達の批評の方が音楽専門家のそれよりたいていの場合直感的に鋭い』 - by Glenn Gould
他人と自分の感覚は当然異なるわけで、音楽だけじゃなく人間に対する評価にしても同じだし。他人に悪口を言われる人でも自分にとってはいい人なことはある話。
"對于音樂,不要用《理解》的詞。在音樂裡沒什麼被理解的東西。對我,音樂應該是被感覺的。" - by Arthur Rubinstein

とはいえ、個人によって当然バラバラではありながら、傾向といったものも存在するようだ。
音楽を聴いて自分以外のヒトが一体どんなイメージを浮かべるのかちょっと知りたくて、10代の頃こんな実験をしたことがある。Rainbowの『Anybody There』(インスト曲)はあの世とこの世の境目を浮遊している状態をイメージして作られたらしい(だったような)。同世代の約10名にこれを同時に聴かせ、その後イメージしたものを絵に描いてもらった。その結果、4名ほどが「長く細い道」「遠くの街へ向かっている」「夕暮れ」「こちら側と向こう側を行き来する数人の影」みたいな絵を描いた。残りは抽象的イメージや作曲者の意図とは異なる情景だったと記憶している。解釈なんてどうにでも後付けできるけど。被験者達も楽しんでくれた。

Beethovenの有名なピアノソナタ『月光』第一楽章は確かに湖の上を照らす月の光のイメージにピッタリ。
でも月光という通称は作曲者本人の意図ではなく、この曲を聴いた別人が彼の死後に名づけたものだと言われる。
Beethoven自身は、当時彼の生徒であり恋人だった少女Giuliettaに捧げ作曲したらしい。月光という名がつけられたと知ったらBeethovenはどう思うのかな。「ふ~んなるほど、面白いじゃん」って感じか。この曲が好きな人は、実は女のために作った曲だなんてことを知ろうが知らなかろうが、好きだろう。
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